電解研磨は見た目を良くするための処理ではありません。真空チャンバーでは、機械加工で生じた変質層を除去し、内部に埋め込まれた鉄や硫黄を取り除き、水蒸気をトラップする実表面積を減らします。脱ガスの多いチャンバーは、溶接がどれほど良くてもUHVには到達しません。
電解研磨が真空で重要な理由 — 見た目だけの処理ではありません
機械研磨は金属を削り取るのではなく引き延ばすため、変質したベイルビー層が残り、そこに汚染が埋め込まれます。この層は水素と水蒸気の溜まり場になります。電解研磨はこの層を陽極溶解で除去し、通常20–40 µmを削り取って、クロムが濃化した不動態表面を残します。その結果、見かけの表面積に対する実表面積の比が下がり、排気時間が短縮され、到達圧力も低くなります。
自社で一貫対応している工程
電解研磨と不動態化処理は外注せず、自社設備で行っています。理由は2つあります。仕上げは寸法と清浄度の管理チェーンの中にあり、第三者に任せるとトレーサビリティが途切れます。また、漏れ検査後にチャンバーの手直しが必要になった場合、外注では数週間かかるところを数日で対応できます。
標準的な仕様
接ガス内表面で Ra < 0.4 µm、削り代20–40 µm、複雑形状でも電流密度が均一であること、処理後のリンスと乾燥により残留物のシミを防ぐことです。内側の溶接ビードは研磨前に平滑に研削し、電解研磨が継ぎ目の段差を強調しないようにします。
材質
304(SUS304)、304L(SUS304L)、316、316L(SUS316L)、316LN(SUS316LN)ステンレス鋼に対応し、お客様がケミカルフィルムやアルマイト処理を指定される場合はアルミニウム合金も対応します。UHV用半導体チャンバーは316L(SUS316L)が標準で、低透磁率が必要な用途では316LN(SUS316LN)を選定します。ステンレス厚板は JIS G4304 / G4305 に準拠した材料を使用します。
内表面処理と真空性能の目安
| 内表面処理 | Raの目安 | 到達圧力の目安 | 脱ガス挙動 |
|---|---|---|---|
| 溶接まま・未処理 | 3–6 µm | 高真空まで | 多い — 溶接酸化膜と埋め込まれた汚染 |
| 機械研磨 | 0.8–1.6 µm | 高真空(HV) | 中程度 — 引き延ばされた層が水蒸気を保持 |
| ガラスビーズブラスト+洗浄 | 1.0–2.0 µm | ベーキング併用でHV〜UHV | 中程度 — ビーズ粒度とリンスに依存 |
| 電解研磨 | < 0.4 µm | ベーキング併用でUHV | 少ない — 変質層を除去、Cr濃化表面 |
| 電解研磨+400 °Cベーキング | < 0.4 µm | UHV、到達可能な最低圧力 | 最小 — 封止前に表面の水分を追い出す |
自社一貫で対応している工程
- 304 / 316L stainless steel and 6061 / 5083 aluminium fabrication
- Clean-environment TIG welding with full penetration and no micro-porosity
- Helium mass-spectrometer leak testing to 1 × 10⁻⁹ mbar·l/s
- In-house electropolishing and passivation — not subcontracted
- Chamber bake-out to 150–400 °C for UHV outgassing control
- Precision-machined ISO-KF, ISO-K and CF (ConFlat) flanges
- Zeiss CMM verification to ±0.02 mm across large work envelopes
- 12 m gantry CNC machining — 12 m × 4 m × 2 m envelope
- SEMI-referenced documentation and inspection protocols
よくあるご質問
真空チャンバーの電解研磨は何のためにするのか?
表面を陽極溶解して20–40 µmを削り取り、機械加工や機械研磨で残った変質層を除去します。この層は水蒸気や水素を保持するため、除去することで脱ガスが減り、ベーキング後にUHVへ到達できるようになります。
電解研磨で脱ガスはどのくらい減りますか?
脱ガスを決めるのはバルク材ではなく表層です。変質層を除去し表面をクロム濃化させることで、水蒸気の脱離速度は一般に1桁下がります。これは排気が数時間で終わるか数日かかるかの違いになります。
電解研磨は自社で行っていますか?
はい。電解研磨と不動態化処理は自社設備で実施していますので、仕上げ・寸法検査・漏れ検査が1つのトレーサブルな流れで完結し、手直しのたびに外注納期が加算されることはありません。
大型チャンバーの電解研磨も可能ですか?
はい。当社のガントリ加工範囲は 12 m × 4 m × 2 m で、電解研磨設備もそれに合わせたサイズを備えています。大型の溶接構造物でも、仕上げのために分割する必要はありません。
電解研磨と不動態化処理は同じですか?
いいえ。不動態化処理は表面の遊離鉄を化学的に除去しますが、変質層は除去しません。電解研磨は材料を削って表面を平滑化します。UHV用途では通常、電解研磨を選び、必要に応じて不動態化のリンスを追加します。
関連する加工能力
仕様どおりの製作をご検討ですか?
図面または仕様書をお送りいただければ、DDP価格・納期・検査計画をご提示します。